デジタル地域ポイント「まきペイ」の活用について

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令和7年度 牧之原市商工会 通常総会において、ご出席の会員様より「デジタル地域ポイントの活用について」ご質問をいただきました。

本会では、令和6年度に実施したデジタルポイント還元事業と、過去に実施した紙によるプレミアム商品券事業を比較・検証のうえ、今後の活用方針について回答をまとめました。

 

1.デジタル地域ポイント事業の現状

近年、地域経済の活性化を目的として、全国各地でデジタル地域ポイント(地域通貨や共通ポイント等)の導入が進んでおり、累計で3,000件を超える事業が実施されている。これらの事業は、自治体、商店街、金融機関、地域DXプラットフォーマー等、複数の主体が連携し、それぞれの地域特性に応じた形で展開されている。今後は、事業の継続性や利用者利便性のさらなる向上が課題であり、地域ニーズに応じた柔軟な制度設計と、デジタル技術を活用した利便性の高いサービス提供が求められる。

 

2.牧之原市におけるデジタル地域ポイント

項 目

内 容

名 称

まきペイ

事業主体

民間事業者(株式会社 Great Value)

概 要

・牧之原市に店舗を構える事業者が加盟

・決済金額の1%がポイントとして還元

 

3.令和6年度「デジタルポイント還元事業」の結果検証

過去に実施した「プレミアム商品券事業」と「デジタルポイント還元事業」の特徴を分析し、今後の利活用について検討するため、下記の検証を行いました。

 

⑴アナログ事業とデジタル事業の比較

①各事業の定義

アナログ事業

デジタル事業

紙による商品券事業

デジタルポイントを活用した事業

②費用の比較

項 目

アナログ事業

デジタル事業

備 考

運用費用

7,331,991円

5,658,325円

デジタル事業に優位

導入費用

0

6,477,500円

初年度の導入費用

③利用者数の比較

項 目

アナログ事業

デジタル事業

備 考

利用者数

5,172名

7,133名

デジタル事業が利用者多

④機能の比較

項 目

アナログ事業

デジタル事業

対象者

高齢者に優位

若年層・スマホ利用者に優位

事務負担

手作業が多い

自動化・省力化が可能

導入・維持費

比較的低コスト(ただし事務費大)

初期投資があるが運用は効率的

 

 

⑵プレミアム方式とポイント還元方式の比較

①各事業の定義

プレミアム方式

ポイント還元方式

額面より安く販売(購入額+プレミアム)

買い物額に応じて後日ポイントを付与

②参加店舗数

項 目

プレミアム方式

ポイント還元方式

備 考

実施初年度

279店舗

(R元年度)

262店舗

(R6年度)

実施初年度比較

※プレミアム商品券事業は、年々参加店舗が増加し最終年度は428店舗

③事業規模別利用割合

項 目

プレミアム方式

ポイント還元方式

増減

小規模事業者

79%

77%

△2%

上記以外

21%

23%

+2%

※小規模事業者以外:プレミアム商品券B券のみ利用店舗

④業種別利用率

<プレミアム方式>

 

<ポイント還元方式>

業 種

利用率

業 種

利用率

増減

飲食店

15.3%

薬局

20.7%

+15.4%

スーパー

14.0%

理美容

14.3%

+9.5%

ガソリンスタンド

13.7%

その他小売

12.8%

+1.4%

その他小売

11.4%

スーパー

11.4%

△2.6%

食料品

9.8%

ガソリンスタンド

11.0%

△2.7%

自動車関連

7.9%

飲食店

9.6%

△5.7%

薬局

5.3%

食料品

8.1%

△1.7%

理美容

4.8%

コンビニ

6.6%

+2.1%

コンビニ

4.5%

菓子

2.1%

△0.7%

家電

3.7%

その他

1.2%

△1.0%

衣料品

3.4%

家電

0.9%

△2.8%

菓子

2.8%

衣料品

0.8%

△2.6%

その他

2.2%

自動車関連

0.6%

△7.3%

建設

1.2%

建設

0.0%

△1.2%

⑤機能の比較

項 目

プレミアム方式

ポイント還元方式

消費の誘導

商品券を購入した時点で消費が発生

(短期的な消費刺激)

ポイント還元が後日のため

2段階で消費が発生

プレミアムの実感

商品券購入時にプレミアムを認識

得した実感が薄れる傾向

利用額

まとまった金額(高額)の

消費に利用される傾向

還元ポイント率が最大になる

少額な消費に利用される傾向

 

 

4.デジタル地域ポイントの今後の活用について

⑴まきペイ事業の評価

地域内消費を促すキャッシュレス決済手段として一定の効果を示しており、物価高騰下における消費者支援・事業者支援の両面で活用可能な施策であると評価できる。また、令和6年度ポイント還元事業は、即時的な価格支援ではなく、継続的な来店・消費を促す仕組みとして有効であると考える。

 

⑵牧之原市に対する要望

①「まきペイ」によるプレミアム方式事業の検討・実施

高価格帯商品への訴求や短期集中型施策にはプレミアム方式も有効であり、施策目的に応じてプレミアム方式による施策実施の検討及び実施を要望する。

 

②継続的な評価体制の構築

効果検証(売上変化、再来店率、属性別利用動向)をPDCAで回す体制を整備し、次年度以降の制度設計に反映していく体制を構築するように要望する。

 

⑶運用事業者との連携

①利用者拡大の促進

利用方法の周知、地域イベントとの連動を通じて、高齢者を含む幅広い層への利用拡大を図る。

 

②加盟店の拡充支援

未加盟店舗への導入促進支援を行い、地域全体への波及効果を高める。

 

③利便性・操作性の改善提案

使いやすさやサポート体制の強化など、参加店舗及び利用者目線での改善点を共有し、継続的なサービス向上に連携して取り組む。

 

⑷今後の方向性

「まきペイ」を活用したデジタル地域ポイント事業は、地域内経済の循環を促進する新たな基盤として期待されている。今後は、利便性と参加のしやすさの両立を図りながら、商工会が地域における"デジタル通貨の拠点"として機能する体制の構築を支援していく。

以上